今回は小保方さん。
この件については、大の大人がよってたかってお襄ちゃんをいじめるのはみっともないでしょ、という程度のおやじ見解で、要は騒動の中身も興味ないし碌に知らなかったのであるが、畏友よりご教示を受け、また昨日の会見をほぼ全部見て、へえそうか、とおいらも心象を形成したので、おくればせではあるが、書く。
◆まず、きのうの会見から
小保方選手も理研と世間と両面作戦でたいへんだと思うが、よく戦った。
結果。
対理研 小保方勝利
対世間 小保方負け
理研に対しては、調査委員会の決定プロセスの手続き論に終始し、これは、おいらの分野でもあるのでわかりやすい。
論点は、今後の小保方氏の理研内の処遇で、もともとどうでもいいことではあるが、三木弁護士はそのために居る。手続きの瑕疵をネタにゆさぶって、小保方氏の地位を保全することが役目なので、まずは、所定の攻撃を完了した、というところ。次は理研の反撃の番。延々泥仕合やってください。どうでもいいので以下略。
で、どうでもよくない世間の関心事、眼目の、SATP細胞はあるのかないのか、は、みんなが言っているようにわからずじまいだった。
今回なんでこんなネタに書く気になったかというと、質疑の際の小保方氏の受け応えに心底感服したからなのであった。
目が泳いだり、質問にたじろいだり、一切なし。
冷静沈着。
で、完璧に、すべての質問をはぐらかし切った。
おいらに伝わったメッセージは、
私は実験で200回成功した。
にもかかわらずみんなが再現できないのは「こつ」が要るからで、それはいまこの場では開示できない、というわずかこれだけの情報量だった。みなさんどうでした?
おいらの理解力が乏しいのか。
以下、おいらと小保方氏の架空問答(おいらの発言は架空だが、おぼかたさんは、実際の発言を再構成、というところが朝日のウソうだん室とは違う)
おいら: でもさあ、発見の肝は再現性で、そもそもそれを担保するのが論文の使命だろう。
レシピは発表しましたが、隠し味は内緒です、では、おいしい肉じゃがはできないっすよ。
おぼかたさん:論文については不備を認めています。ここまでは譲るわよ。でも、できたのは事実です。200回。これは譲らない。
おいら:よろしい、百歩譲ろう。論文の件はひとまずおく。
であれば、衆人環視のなかで、何回も成功した実験をあなたが再現すればよい。
それこそ割烹着着て、9時のEテレにでて、アシスタントのアナウンサーに、「みなさん、今日は小保方先生が、春らしくSTAP細胞を作っていただきます、先生お願いします」
「こつさえつかめば簡単なんですよ」
てなノリでやればどうですか。受けるよ。
或いは、実際に成功した方をご存じとのことだから、その方に再現してもらえばいい。
おぼかたさん:再現できた方はいます。でも、さし障りがあるから実名はいえません。
前にも書いたが、功を焦ってお先走りしても、結果が追い付けば結果オーライ、科学の発展って、そういう先陣争いのエネルギーをうまくつかってきたんでしょ、という門外漢的なまあいいじゃん認識は、基本、おいらには、ある。
固いこと言うなよ、と。
ただ、きのうの会見を見ると、その点が腑に落ちない。
自分がイノセントであること、つぶらな瞳であることは散々語る。
だが、実験の正当性については、なにひとつ具体的に語らない。
具体的に語らないことについて躊躇しない。
おれが、もし小保方氏の立場だったら、理研での地位なんて、そんなもんどうでもいいですよ、どうせ今しがみつけても先はない。
なにより、おれはやったんだから、200回成功したんだから、ここをこうすればいいんです、ちょっと専門的になりますが、みなさん聞いてください、で自分の正当性をまくしたてると思うね、ほんとなら、ほんとにやったんなら。
言い張るでしょ、普通。おれだけ、か。
理研の調査では発言の機会を適正に与えられず不本意だったそうなんだから、いままさにこの会見の場で主張すればいい。
主張しないのか、できないのか。
或いは、これは語るに落ちるそれこそ「下司のかんぐり」だが、最後まで譲らないのが、自分の善意、偽装の悪意なし、のとりで、だと決め、その一点のため今回の会見に臨んだとすると、小保方氏のパフォーマンスぶりのすべての説明がつく。
要は、悪意の偽装だった、とすると説明がつく。
現時点で論文作成の形式上の不備は認めている。
いずれ再現性が否定された際、次に、実験のプロセスのミスを認める。
私は信じていました。実験技術が未熟でした。
そこまでは認める。過失だ、傷は浅い。それで本件ケリにする。
という戦略が当初から本人に(おそらく弁護士はそこまで立ち入っていない)あったとすると。
これ以上、なんらかのメイキングがあったのかなかったのか、なんてやめてください、4月9日の会見だって私はつぶらな瞳だったでしょう、と。
よくある、自分で仮構したストーリーが自分の中で真実になってしまった思いこみの強いこまったちゃん、ということではないと思う、きのうの冷静さは。あの人は、タフだ。
ともあれ、「偽装」である以上「真実だと認識していた」偽装だけは最後まで貫徹し、つぶらな瞳でつっぱる、という肚のすわった確信犯だとすると、おいらのなかでは、逆に天晴れマークがつく。
どてらい奴だ。
また、会見でずっと感じていた小保方氏のパフォーマンスぶりに対する違和感は、上の絵解きだと解消する。
違和感がなくなる。
理研は、処分だのなんだのいけずなこと言ってないで、逆に場を与えて、本人に再現実験をさせるべきだと思う。
ロドス島ではできた、ではだめだ。
「ここがロドスだ、ここで跳べ」
かつて、澁谷から広尾の日赤産院に向かう学バスから、首都高の壁に大書されたこの文句を何度も見せられたおいらの、これは小保方氏に捧げるエールである。
で、この件は、ケリね。