啓発舎

マジすか? マジすよ

今日付けの読売編集手帖より。

戦時中、劇作家長田秀雄の戯曲『飢渇(きかつ)』が上演された。事前に台本を警視庁に提出したところ、以下のセリフが問題になった。〈奥さん、どうか一度だけ、接吻(せっぷん)させて下さい〉。「接吻」はけしからんと、その2文字が墨で消されて返ってきた◆検閲済みの台本で稽古をしたとき、俳優はグッと言葉に詰まり、「とても、これは言えません」と、演出家に泣きついたという。随筆家、車谷弘さんの『銀座の柳』(中公文庫)にある◆言葉は文脈のなかで生きている。一語を抜き出して「けしからん」と非難しても意味がない。

以下、平野防災相の発言への言及。抜粋したところは、話の枕ではあるのだが、おもしれえじゃねえか。
同じ題材を天声人語も扱っている(論調は読売と一緒、言葉は文脈で解釈せよ、今回は大目にみろよ)が、センスは今回も編集手帳の圧勝。