◆きのうのNHKBSの「ひこうき雲」を聞きなおす番組は、ヒット。
当方もずいぶん久しぶりに聞いたが、風通しのよい音楽ですね。余計な音がない。空気感。何曲目だかの、細野晴臣氏のガットギターなんかセンス抜群です。この人はこの頃がピークかな。アルバムは違うがコバルトアワーのベースなんかかっこよかったよな。
鈴木茂氏が出なかったのは惜しまれる。塀の向こうで、出られなかったのか。
時代の空気が蘇り、当方も、しばし感慨にふけりました。
松任谷由美氏は、顎に年相応の迫力を感じたが、汁気はだいぶ抜けたかんじですね。
この頃の東京は、よかった。
原宿にレオンという喫茶店があって、コーヒーのおかわりがただ、という理由だけでよく行った、当時お友達だった恵泉か清泉かどっちかの姉ちゃんと。その姉ちゃんに、リンダロンシュタットとか誰それとか、いろいろ教えてもらった。新井由美も、初めて聴いたのは、この人からレコードを借りたときだった。14、5才のガキの頃だが、当時の表参道は、普通に事務所ビルがならんでいて、たまに一階がカフェとかレストランになっている、というかんじの、落ち着いた通りだった。男も普通に歩いていた。
あと、渋谷のブラックホークか。ここではっぴいえんどを初めて聞いた。ムルギーなんていうカレー屋が近くにあった。
当時は、CSN&Yとかブリティッシュロックとかで精いっぱいで、和物は四畳半フォークとかいってほとんど聞いてなかったのだったが。
荒井由美さんは、最初から驚きがありました。この作品と、ミスリムと、コバルトアワーの初期三部作は良くきいた。実際、あとになって三枚組で再販されたんじゃなかったかしら。
その次あたりから明らかにメジャー狙いがみえてきて、あと、女をターゲットにした戦略がすけすけになって、急速に引いたのだった。
あの頃の東京は、よかった。
麻布のあたりも、静かな空気がありました。
渋谷。70年代半ばの渋谷は、かっこよかったぞ。パルコもまだ騒ぎ出していないころ。
六本木。これは70年代後半。ずっけろ、なんていうディスコがあったな。
麻布は、その六本木のスラム化
いずれも、破壊し尽くされた。
少し前、銀座が危ないな、と思ったが、いまでは、確実に奈落へ突っ走っている。
なんでこうなったか。
空気、とか、ニュアンス、とか、そういうものが、ほとんどなくなっちゃったんだね。
おやじ系の街の一部にかすかに残るばかり。
◆BSは、いい。何を今更、と自分でも思うが、いままで見られなかったんだからしょうがない。
昨日も、チャンネルかちゃかちゃやってたら、ロリーギャラガーだのヴァンモリソンだの、しぶいところが、しかも結構長尺ででていて面白かった。
地上波とBSは全然違いますね。
だが、当方、地上波を貶める気はさらさらない。
地上波を、くだらないとか、規格の貧困とか言って謗る時期は、もう過ぎたんではないかしら。
当方、しみじみ思ったのは、スポンサーの力、ということ。
テレビ見て、パチンコ行ったり、化粧品買いまくったり、高利で金借りてほしいわけですよ、要するに。
そういう人に見てもらいたいわけですよ。
テレビの俗悪化をなげく人は、なげいてブログ書きまくる人は、一般に、あまり開店前からパチンコ屋にならんだり、目をパンダにしたり、多重債務で個人破産したりはしないんじゃないですか。
それはそれでマーケットがあるということでしょう。
地上波は、アサヒ芸能であり女性セブンであるわけだね。
BSの、少数派に対する鷹揚さは、ありがたい。
おれなんか、自分の志向するものが悉く世間では少数派
少数派人生苦節50年。もう、なれっこだ。
トホホの精神でやっていこう。