深川。白金から都営線を乗り継いでいくのだが、門前仲町の駅から地上に出た時のほっとする気分は、なんだろう。
人、なんだと思う。こう、善良なかんじです。こういうところに生まれ育ってほんとによかった。
割合まじめに営業会議。思ったよりうまくいっているようなので拍子抜け。
「じゃ、私の9時5時アルバイトはやめようか」「どうぞ」
「番町にマンション買うか」「どうぞ」
ほんとに買うからな。
家族3人であてなく仲町方面。
牡丹町のあたりで偶然みかけたフレンチにはいることにした。
これがよかった。おフランスは久しぶり、でもないか、日仏会館以来だが、内容は軽くそれを凌駕する。
前菜から梨のコンポートのデザートに至るまで、品のよい、やさしいお皿ばかり。
オーナーシェフが厨房で、マダムが接客、とお見受けした。あと、若い衆一名の3人で切り盛りしている。
老母の、冷泉家の展覧会に3時間いた話。姉の、同級生4人組恵比寿目黒食べ歩きの話、など。
女どもは、なんだか謳歌しているな。
帰りがけ、当方の荷物を、これ楽器ですか、とマダムに尋ねられる。
「そうです、リュートといいます」と言うと、「あのフェルメールの」と。
「まさにそれです」中身を見せると「絵と同じですね、はじめて見ました」とうれしそうだった。
シェフも玄関までお見送り。
近いうちに、また来よう。
それにしても、下町の路地裏に、普通にこういう店があるという事実は、どうなんだろう。
成熟ということか。