梅雨いりだそうだ。
梅雨は好きだ。
いまも、半分開けた窓から雨の音が聞える。
雨の匂いのするひいやりした空気が流れ込んでくる。
俳句の雑誌を立ち読みしていたら、合評会のような座談で、盛んに「類想」という発言がでてくる。文脈から、あまりいい意味ではない、と知れる。
月並とか、ステロタイプとかいう意味か。
障子に葉陰がゆれる、というような。
さっき、冷奴を食っていて、次の句がうかんだ。
冷奴 よくぞこの国に生まれけり
これなど類想の典型か。
でも、つくづく、ほんとに、そう思う。毎日思う。
類想というのは、民族の記憶のようなものではないだろうか。
そうだとすると、類想を集めると、この国に底流する美意識が浮かび上がってくるのではないか、と、ふと、思った。
梅雨の雨の匂い、など、散々言われ尽くしているのだろう、おそらく。
それでも、なおかつ、混じり気なく、沁みる。