ついに念願のアキバに行ってきた。
この街とのつきあいも長い。
中学のころ、高級オーディオにあこがれて、ヤマギワだのイシマルだののリスニングルームによく通っていた。タンノイだのJBLが人気だったが、セレッションなんかよかったですね、室内楽聴くのに。石丸でレコードをずいぶん買った。和田誠氏のイラストの袋で学校にもよく持っていった。
クラシック売り場には、たまに、店中買い占めるような勢いで輸入盤を買いまくるすごい客がいましたね。
まあ、そういう街でした。当時も男濃度は高かったが、まだ、まともな人々だったですよ、徘徊する人の主流は。
などと当時を懐かしく回想しながら(うそ)中央改札口に降り立つ。
いきなり、話には聞いていたが、コスチューム姐ちゃんのビラ配りの洗礼にあう。
このビラ配りの女の子にも、親衛隊のように、オタクが遠巻きにはりついている。
駅前では、ライブが何組か展開中。
白装束のミニスカ姐ちゃんが、金切り声で、まあ、その、なんだ、本人は歌っているつもり。そばに、ごつい用心棒風が周囲を睥睨する。
で、ここでも、オタクが、半径3メートルぐらいの距離を置き大人しく、しかし濃厚なオーラを放ちつつ、うつむき加減でこれをとりまく。
体型はデブか痩せ、中間はいない。
メガネはあくまで黒縁。携帯カメラは必須アイテムです。ほぼ全員、リュックサック、いまなんていうのかしらないが。高尾山の遠足状態。
で数曲歌うとお待ちかねのmcです。
「みんな、今日はありがとう。いつも来てくれて。スタンプラリーはじめましたのでよろしく。」
5回通うとオリジナルCD、とか、景品がもらえるそうな。
オタク、表面は反応せずにじっとこれを凝視。
観察もこの辺りが体力の限界だ。
久しぶりに、胃がしびれた。
ほんとうの感動を味わった。
この国の懐は深い。
こういう男の子たちのために、街を一つ提供してやる、とは。
ライブは何組かやっていたが、人気不人気が歴然としていて、取り巻きがまばらな姉ちゃんもいる。
女の子なら誰でもいいというわけでもなさそうだ。オタクの選別眼も厳しいのだね、基準は知らねえが。
日本は平和だ、こういう国では戦は起こらない、と重々しくつぶやきつつ、慈父のごとき愛情で坊やたちをを見守る小生であった。