書名 ブッダのことば
訳者 中村 元
出版社 岩波書店 岩波文庫
言わずと知れた、最も古い仏典スッタニパータの翻訳だ。
買ったのはよく覚えている、木更津駅前の本屋。1991年のちょうどいまごろ。
当時は、むさぼるように手当たり次第宗教書を読んでいた。何でも読んだ。ゾロアスター教とかシーク教の本も読んだ。
書庫整理の途中で一部屋本が散乱している。そこから何気なく手にとった一冊。
読み始めて、やめられなくなり、読破。
年はとるものだ。
沁みる。
こんなに単純なことを言っていたのか、仏陀は。
私なりに要約すると。
執着を去れ、行いを澄ませ。
ということに尽きるように思う。
「犀の角」のくだりなど、読んでいると励まされる。なんだか力が湧く。
「犀の角のようにただ独り歩め」
結局、そこに行き着く。
昨日プールで泳ぎながらふと脳裡をかすめたのも、それにまつわることだった。
独り歩む彼方に、うすぼんやりと明るみが感じられるようである、ということ、それこそが僥倖というべきではないか、ということ。