啓発舎

マジすか? マジすよ

能楽特別鑑賞会 河村大 師の迫力

国家指定芸能 能楽特別鑑賞会 第12回京都公演 京都観世会

 凄かった。

 まずは番組から。

金剛流能『通小町』
 シテ:今井清隆 ツレ:廣田泰能 ワキ:谷田宗二朗
 笛:帆足正規 小鼓:伊吹吉博 大鼓:石井喜彦
観世流能『二人静
 シテ:杉浦豊彦 ツレ:浦田保浩 ワキ:村山弘 アイ:茂山忠三郎
 笛:光田洋一 小鼓:竹村英雄 大鼓:井林清一
大蔵流狂言『花折』
 茂山千三郎・茂山千作・丸石やすし・松本薫・佐々木千吉・網谷正美・茂山正邦・茂山七五三
観世流能『山姥-白頭』
 シテ:井上裕久 ツレ:吉浪壽晃 ワキ:清水利宣 アイ:網谷正美
 笛:森田保美 小鼓:林光寿 大鼓:河村大 太鼓:井上敬介


 なんといっても山姥。

 中入り後の盛り上がりが凄かった。

 ところどころ、雄たけびのようになる河村師の掛け声。
 井上師の楷書の舞い。
 地鳴りのような地謡

 空間を領する気は、はりつめていく。
 シテと大鼓、太鼓が時間を濃縮するような緊迫した間合いをはかり、シテは足を踏み、囃子方は鋭く打つ。
一瞬の解放。
 そして更なる緊迫。解放。

 異界の空間、時間の流れがそこに現出する。
 居ながらにしてそれを共有する至福に茫然となりました。

 凄い。

 今日の河村さんは、なにか憑依していたと思います。
 中入り後のアイとワキの掛け合いが済んだあたりから、ただならぬ気を感じました。

 終演後、気がゆるむと、疲れがどっとでました。

 他に、茂山家顔見世の感のある花折。
 千作師がでると、やはり、場をさらいます。
 最後に現れて、弟子の醜態に驚きうろたえる様。

 二人静。あでやか。

 片山清司師の仕舞、熊坂。雄渾。


 それにしても山姥の極限に達した時空間。

 たまに、こういう経験、というか、場に居合わせることができるから、お能通いはやめられない。

 神宮通を茫然自失の体でとぼとぼ歩いていたら、気がついたら高台寺の辺りまでさまよい出てしまいました(花灯路のせいもあるか)。