2月21日(水)
シネマヴェーラ渋谷にて。
○題名 ディスタンス
○監督・脚本・編集 是枝裕和
○キャスト
敦 : ARATA
勝 : 伊勢谷友介
実 : 寺島進
きよか : 夏川結衣
坂田 : 浅野忠信
菊間刑事 : 中村梅雀
他
実は、設定、ストーリーの展開には、当方、個人的にデジャヴュ感があり、それを言い出すと上下二巻ぐらいになるので、とりあえず措くこととしたい。
この映画の本質は、男の子の感性の瑞々しさ。これに尽きると思う。
ARATAという人は、どういう人だかしらない。
この年頃の男の子の感受性、含羞、思いを言葉にしきれないもどかしさ、体験を整理できす、受けとめかねている感じ、そういったことを放り投げて日々送っているあの年頃特有の諦観のようなもの、それやこれやが、抑えた演技(ほんとに演技だろうか)から伝わってくる。ニュアンスが。
浅野忠信は知っていたが、この人は、さすがに「役者」していて、自分の芯がまだつかめないで他律的に生きる若者を正確に演じている。
この二人のキャラは良く似ている。
映画の中でも、この二人だけ、日常生活のプロフィールがあまり詳しく紹介されていない。
匿名の若者AとB。
この両者のからみはスリリングでした。
この監督のほかの作品を観ていないのだが、映画という表現手段で、人の感情の不定形なもの、微妙なゆらぎ、その美しさ、悲しさ、をどこまで抽出できるか、突き詰められるか、そういうことを大事にしている人ではないかしら。
他の作品も観てみたくなった。