夏風邪、全快。
梅雨明けはまだのようだが、今日は、夏らしい青空。
なんだか、不信心者の私でも、何か大きな存在に感謝したくなるような日です。
なんといっても身体が大事。
痛感しました。
身体の不調は気持ちにダイレクトにつながりますからね。
しかもそれが1ヶ月以上も続きましたから。
たかが夏風邪とばかにしてはいけない。
で、今回、つくづく思ったのは、自助の意義。
医者は当てにならない。
今回も、そう。
医者には一度行きましたが、とおりいっぺんの風邪薬の処方、抗生物質つき。
4日分ほどあり、律儀に飲んでいたのですが、薬が切れそうになってもまったく好転せず。
で、また同じ医者にかかるのもなんなので、ネットでいろいろ調べたら、素人なりに、夏風邪というものについて知るところがありました。
○長引く。
○菌は弱い。
○ウイルスだから抗生物質は効かない。
○なにしろ、喉に働きかけること。うがい、喉あめ等
で、コクミン薬局に行って、浅田飴、ヴィックス、ノドヌール、エスタックイブ(喉には、いまのところこれが一番だと)を買い込み、夏風邪キットと称し、全部実行したら、あらあら不思議、それまで4週間近くグズグズいっていたのが、3日で治ってしまった。
たまたま、治る時期だったのかもしれないが。
浅田飴(いたい喉用)、ヴィックスは、老舗だけあって、喉に優しく、一番お世話になりました。
いま、おしなべて、権威というものがなくなってきているようです。
昔は、博士だの、お医者さんだの、あとサムライ(士)のつく仕事、弁護士だの会計士(これは地に堕ちたね)だの、は、職業そのものに、「偉い」というステータスがお約束事のように、ついていた。社会通念として。
それが、いまはどうだ。医者とか、先生とかいっても、みんな、ハナから疑ってかかりますよね。
たいへんいいことです。
医者といえば、こんなことがありました。
忘れもしない4年前、2002年の秋。
ある朝起きたら、腰に激痛。うつぶせで寝ていたのですが、身体の向きを変えるのも難儀するような。
前夜の深酒のせいで、頭も朦朧、それでも、習性のように仕事場に向かったのでした。
当時、有楽町線の、新木場からみて池袋方面に通勤しており、ラッシュの逆方向、朝でも楽々座れる環境だったのですが、やれやれと座ろうとして、激痛。
腰痛は生まれて初めてだったので、分からなかった、ふかふかの椅子が一番堪えることを。
医者ぎらいの当方も、仕事場に着くや、職場のある雑居ビルの医院、診療所の階に直行(ワンフロアまるまる医者、薬局)し、診察を受けました。
「なにか心当たりありますか」
「昨日酒飲んで正体なくしたんで、それからなにかあったんだとは思います」
「レントゲンを撮りましょう」
レントゲン、撮りました。
「椎間板ヘルニアです。ここをみてください」
小柄口ひげ白髪の、大竹まことに縮尺80%掛けたような医者が、無表情で宣告。
「どこがどうなんですか」
「ここが、こう狭くなってるでしょう。ここが圧迫されてるんです。」
「みたところ、よくわかりませんが」
「とりあえず、治療しましょう」
というわけで、別室で、電気ショック、マッサージなどされて(いてえぞ)ずいぶんふんだくられました。
これは、もう、セカンドオピニオンだと思いましたね、身体をいじくられながら。
で、丸の内まで、行って会社の診療所にかかりました。
「これこれで、椎間板ヘルニアらしいのですが」
「レントゲンだけで椎間板ヘルニアは絶対わかりません。」
「じゃあ、どうなんでしょうか、私は」
「まず、CTスキャンを受けてください」
予約をとり。御茶ノ水は山の上ホテルのそばの施設で撮りました、ガーガーうるさい機械に寝そべって。
再度会社の診療所。
別の医師。若い、せいぜい30代、やせた、目の細い男の人。
当方、御茶ノ水の施設に、後日わざわざ引き取りに行った大きな紙袋をわたし、説明を聞きます。
「ここの第28なんとかと第29なんとかがどうしてこうして・・・」
「はあ。あの、素人なのでちょっとよくわからないのですが」
「だから、第28がどうたらこうたら(まったく同じフレーズ)」
当方の状態がどうで、たとえば椎間板の疑いがあるのか、どうか、今後どうするのか、ちっともわからず。こいつ、わかってるのか、という疑念がわく。
「すいません、理解が遅いので、もうすこし、その・・・」
「だから言ってるでしょう」
「要は、わたしは、どうなんでしょうか。治るのでしょうか、深刻なんでしょうか」
「第28なんたら・・・」
そうか。そういう了見か。
当方、いままで何回も無駄足をし、やっと、ここまでこぎつけたんだ。ここで引き下がると男がすたる、清水の「雅俊」次郎長親分にも顔向けできねえ。
「分からなくて聞いているんだから、きちんと説明してください(あくまで丁重)」
先方、一瞬の狼狽。あまり患者からの切り返しに慣れていないのだろう。
さて、どうでるか。
こいつの出方にはふたつある、と読んだ。
1. 言葉をかえて言い直そうと試みる(最初からそうすればいい)
2. 専門医へ、振る。
ところが、こいつのとった行動はそのいずれでもなかった。
いきなり逆上、
「何回いわせるんですか」
で、くるりと向こうを向き、当方からのコミュニケーション拒絶の姿勢。
看護婦呆れ顔。
ただの若造だったんですね。
当方、これ以上の働きかけは不毛と思料、撤収した次第であります。
後日談。
結局、今後どうしたらいいか、診療所を統括する会社の部署に相談したところ、当方に対応した医者の名を聞くや、今度は大学病院に、しかも別の先生から紹介状を書いてもらい、更なるオピニオンを聞こう、と、先方主導で段取りしてもらいました。
まあ、被害にあったのは当方だけではなかったようです。
後日談その2
後日、友人Mと飲んだとき(中高の同級生。本郷の医学部をでて、現在ハンセン氏病施設で献身的医療に従事)
「そいつに渡した袋に、写真の他、手紙があったろう」
「そういえば、○○先生足下、とか膝下とか、いまどきスカートのサイズみたいなあて先のへりくだった封筒があったね」
「それが、放射線科のドクターの所見なんだよ。そいつは、それを鸚鵡返しにするしかできなかったんだね」
「自分じゃ判断できないの」
「人によるけど、整形外科医の看板を出していても、ろくに写真も読めないやつは、いくらでもいるよ。専門分化している現状の問題もあるけどね」
そういうことだったか。
腰痛は、いつの間にか快方に向かい、結局大学病院には行かないですませました。
後には、未開封の紹介状と、CTスキャンの写真が残りました。
もう4年前の話です。
健康の有難さをしみじみ思いました。