啓発舎

マジすか? マジすよ

門外漢のミステリー

 雨降りだからミステリーでも勉強しよう・・・か。

 少し気が重い。このジャンル私の出る幕は、おそらく、ない。
 中学の頃から、もう専門家がいて、この世界と、あと、SFね。知識の奥行きが全然当方などと比べ物にならない。不思議とそれぞれ専門家はどちらかに片寄っていて、両方詳しいという奴はいなかったなあ。
 
 入門は割と早かった。
 小学生のころ、図書館にいりびたりだった。児童書をばかにしてはいけない。あかね書房というところからでている、子供向きのミステリーのシリーズが置いてあって、赤い家の秘密、とか、マルタの鷹!(もちろん子供向きに翻案されていたんだろうけど)なんていうのまで、読んでいた。面白かった記憶がある。挿絵がかっこよかった。
 
 小学校6年の頃、神田の三省堂(ビルの建つ前)で創元文庫のYの悲劇を買ってもらった。中学に入学が決まって、親が、ご褒美で志賀高原にスキーの合宿に行かせてくれたとき、バスの中、オランダ靴の謎を読んでいた。
 中学に入ってからは濫読。みんなと一緒。

 今でも市ヶ谷あたりで酔っ払うと、帰りにきちんと、深夜プラスワンに寄って、一冊は買って帰る。酔うと本買う癖は昔からで、書棚を整理していて、なんでこんな本があるんだ、と思うのは、だいたい、酔っ払って買ったやつだ。いま、深夜プラスワンのカバーがついてるやつを一冊見つけたが、「大疑惑」という手品のタネとかをばらす暴露本です、くだらねえ。ハヤカワ文庫。「コンピューターを使ったブラックジャックの必勝法」という章は、ちょっと面白かった。

 奇妙な味は、意識して読んだ。ロアルド・ダール、ジョン・コリア、あと、忘れた、ハヤカワからハードカバーのシリーズが出ていたので、全部読んだ、図書館で借りて。当時既に、買うまでもねえだろう、という気持ちもあったが、ハヤカワは、ポケミスを含め、高いですよ。

 ダールは、人並みに面白いと思った。文章家ですね。「キスキス」も「あなたに似た人」も読んだけど、いまは、「飛行士の話」がいちばん好きです、これ、ミステリーのカテゴリーからは、少し離れるかもしれないが。文章家の面目躍如、翻訳で文章をほめるのもなんだが。
 ただ、この人は、うまくいえないが、物凄く精巧にできた偽者、みたいな匂いが、常にある。

 ハードボイルドは、全くだめだ。人様の趣味にいちゃもんつけたくはないが、あのへらず口を、ほんとにかっこいいと思っているのか。安手の自己憐憫を。ガキがヒーヒー言って喜ぶのは、まだいいが、一定の年に達したおじさんともあろうものが。これだけは理解できない。背中痒くなる。

 やっぱり資格なさそうだな。

 実はきっかけは、きのうの岩波ホールの話で「そして誰もいなくなった」を観たよな、ということ。
 クリスティーもミステリーの範疇に属するでしょう。
 映画を見ていて、子供心に、一人一人殺されているのに、みんな、晩になると、それぞれ自分の部屋(個室)に戻るのが面白かった。やられるかもしれないのに。
 結末は、映画だからしようがないか、大ハッピーエンド、気に入らなかった。
 クリスティーは、当時創元文庫から短編集がでていて、その4集目に、オカルトものだけを集めたやつがあって、これは傑作だと思った、いま、手元にないが。

 ディクスン・カーでは、あまり注目されていないようなので言っておくと「不連続殺人事件」は面白いよ、これもミステリー的興味で読むと肩透かしだけど。

 なにか、気の利いたことが出てくるかと思って書き始めたが、今夜は(も、か)不発のようです。すいません。夏風邪よ、去れ。