啓発舎

マジすか? マジすよ

タイトル ハンバーガーコンチェルト The Hanburger Concerto
演奏者  フォーカス        Focus

 音楽 クラシックじゃないほうの番。
 音楽について言いたいのか、昔話をしたいのか。

 1973年から4年のころ、ロック全盛だ。当方中学から高校の生意気盛り。
 ビートルズはとっくに解散し、群雄割拠、レッドツェッペリンだとかディープパープルとか、あとしぶいところではテンイヤーズアフター(早弾きのアルヴィンリィーなんて知ってるか)だの、皆さん元気にやっていたころ。
 プログレッシブロックというジャンルがあった、EL&Pだのキングクリムゾンだのイエスだの、なんだろう、クラシックとか、現代音楽とか、ジャズとか、「進歩的」にごちゃまぜしてたんだろうね。
 個別にはそのうち言及する機会があるかもしれない。
 今回は、その中でも、当時もすこしマイナーだった、このバンドだ。
 当時、同級生で、このプログレッシブロックのオタクで自らもキーボードをいたずらするG君という人がいた。
 この人が、ある日授業中に突然「ライララ ライララ ライララ ライララ ライララ ライララ ルンパッパー」というフレーズを裏声で叫び始め、しばらくリフレインしたことがあった。生徒が授業中に奇声を発すること自体は当時特に珍しいことでもなんでもなく、教壇で火は燃えるは、カブ(カードのばくちです)に熱中しているやつはいるは、いきなり、ギターをかかえた二人組(ひとりはオレだ)が乱入して一曲歌うは、突然立ち上がりギャグを言って、しかもそれが受けずに消しゴムを投げられるやつがいるは、あと・・・きりがない、たいへんな学校だった。6年もいた。おかげでこうなった。
 で、このGくんは、口(クチ)ムーグの名手だったと思いねえ。
 賢明なる数少ない読者はすでにご賢察のとおり、口ムーグとは、当時のロックにつきものだった、とくに、はったりかますときには欠かせない、ムーグシンセサイザーを、口で真似する技です。ギブソンのギターをもってるやつはいたけど、さすがに、シンセサイザーを所有する仲間はまだ、いなかった、中3だし。銀座の山野楽器で「コーグ」シンセサイザーというのがずいぶん長くおいてあったけど、売れたのだろうか、当時で20万以上だったと思う。
 で、ギューンとか、ブヒョヒョーとかやってたのね、口で。擬音です。EL&Pにラッキーマン(LPはファーストか)という前半アコースティックギター後半シンセサイザー全開という曲があって、前半はアコギで、後半はこの人の口ムーグでコピーしたことがあった。
 で、本題。
 いつもの口ムーグと違うもんだから、「いったいそりゃなんだい、ヨーデルみたいだね」と聞いたら、「おぬし、フォーカスを知らないのか」ということで教えてもらいました。知らなかった。
 寄り道だらけで、読者よお疲れでしょう。当方も同様です、ビール飲んだし。とばします。
 要は、オランダのバンドで、ヤンアッカーマンという割合まともでセンスの良い(基本はジャズ系とみた)ギタリストと、このライララライララの主、名前うろ覚え、タイス・ヴァン・レアーだと思う(だいたいオランダ人の名前は読みにくい、イアンソープのかつてのライバル、リッケンホーヘンバンド(適当)を見よ、実況でアナウンアサーがカミそうになりながら連呼するのは抱腹絶倒だったぞ)が中心になったバンド。
 こいつが奇怪なやつで、当時、テレビ東京(東京12チャンネルか)でめずらしくロックの番組があり、鈴木ヒロミツが司会していたのだが、それにでてきて、キーボード弾きながら、この「らいらららいらら」をやっていた。いろものかと思いました。
 このアルバム自体は割とよくて、一曲目はいきなりリュートとリコーダーです。二曲目ジャズ風味、この曲のギターはいいぞ、あと、ハイドンヴァリエーションのパクリとか、いまでもたまに聞きます。NHKが海外取材番組かなんかのBGMで一時使ってましたね。
 プログレッシブロック、いまから思えば、既存素材のごちゃまぜはったりではありました。ブライアン・イーノなんて、オーストリッチのストールでオカマちゃんだったんだぜ。
 いかん、収拾がつかなくなりそうだ。

 古きよき思い出です。明治は遠くなりにけり。