電車の宙吊り公告に、関西地区の行事予定のようなものがあるのですが、それで一行か二行、鑑真和上特別拝観について書いてあったのに気づき、早速でかけました。 唐招提寺は二回目。忘れもしない、一回目は、鑑真御廟の前庭で、美の不意打ちにあったのだった。荘厳な苔のお庭。
今回は、鑑真さんに会いに行く、という趣向。
春霞が陽射しをやわらげる、晩春特有の気持ちのよい陽気。昼近くになって、ようやく腰をあげた。お寺に着いたのが、1時ごろ。意外に、人はまばら。今回は寄り道せずに、目指す御影堂へ。
閑雅なお庭を左に見ながら、鑑真和上のいます本殿へ。
初めてお目にかかる鑑真様は、やや距離はありガラス越しではあったけれど、やさしく目をつむられて気品がありました。
かなりリアリズム、お顔が。
開山忌、お命日ということで、お焼香をいたしました。
お像の左右は、一面、東山魁夷画伯の障壁画。青一色。青い海。白い波頭。黒い岩。躍動感、青の清さ、潮騒が聞えてきそうな素晴らしい作品です。
隣のお部屋は、深山幽谷。
深山に、霞がたなびき、清冽な気が、こちらまで漂ってきます。海の動に対する、山の静。
更に裏手にまわると、桂林の風景。墨一色。
最後のお部屋は、鑑真和上の故郷揚州の景色。
いずれも画集では拝見していましたが、実物は目を洗われるような素晴らしさ。
空気が伝わってきます。
当方、なかでは、深山幽谷が白眉だと感じました。
廟にもお参りしました。今回は二度目なので、不意打ちは、なしです。
「不意打ち」には、対象の状態、当方の状態、それと、空気としかいいようがない、場の状況、三一致の条件が要ります。
せっかく近くまで来たので、近鉄電車で筒井駅からバスに乗り法隆寺へ。
ここも二度目。
一度目は、当地に来た当初04年の10月だったと思います。その時は、荘厳の気を感じました。歴史の証人としての風格。金堂と五重塔を囲う通路があるのですが、ここをぶらぶら歩いていて、しんとした気持ちになりました。曇りでしたね。
今日は晴れ。晴れの法隆寺は、なにか、あっけらかんとした空気。二度目だからか。
西円堂に登っていったら、4時の鐘を鳴らしていました。
茶店でしばし休憩。空気は、違いますね、やはり。
どうしても、子規の句が頭の片隅にあり。茶店で休んでいると気分は「柿食えば」になってしまいます。鐘は、既に鳴り止んでいたけれど。
のんびりした気分で帰ってきました。
心斎橋で、はじめて「そごう」を覗いて見ました。ほっとする雰囲気あり、私には馴染めました。13階のレストランもよし。銀座のコマツに店を出していたなんとか亭がありました。お腹がすいていたらはいっていましたね。B1で今半が店をだしていました。それでわかった、ここは「大阪」ではない、東京テイストなんですね。横浜そごうみたいな。
だけど、隣の大丸と比較すると一目瞭然閑古鳥。客単価は高いのかもしれないけれど、このお上品路線は、この地で通用するか。
というわけで、久しぶりに奈良まで遠足に行ってきました。盛りだくさんで楽しかったです。