啓発舎

マジすか? マジすよ

マイケル・ウォシュバーン

書名 自我と<力動的基盤>
著者 マイケル・ウォシュバーン
出版社 雲母書房

 トランスパーソナル心理学の理論書としては、いま翻訳されているもののなかでいちばんバランスがとれています。
 第五章以降、俄然面白くなります。特に秀逸なのは第七章。「魔境」を説ききっていると思います。ほんとうに臨床体験なく、文献一筋の人なのでしょうか。
当方、個人的には、悟りの道程を心理学で説明しきるというトランスパーソナルのアプローチ自体は、怪しいな、というスタンスです。ケン・ウィルバーも、久しく、袋小路から抜け出せないでいるようです。
 この本の第七章も、発達心理学一流の「原抑圧の除去」という流れの中で論を進めていて、その構成自体には違和感があるのですが、過程で起きるもろもろの現象と、その克服についての記述は妙にリアルで、皮膚感覚的にうなずけるものがあります。
 この間書庫整理をして、ニューエイジ系の本をずいぶんお蔵入り(文字通り!)させたのですが、この本は、まだ現役で書棚にあり、たまに拾い読みしては、ご同慶、と勇気づけてもらっています。