啓発舎

マジすか? マジすよ

新婚道中記
NHKBS
ちょっとした誤解と行き違いから大げんか、離婚を決意した夫婦を、L・マッケリー監督が軽快な演出で描き、アカデミー賞に輝いた傑作スクリューボール・コメディー。
だそうだ。

出演
アイリーン・ダン,ケーリー・グラント,ラルフ・ベラミー,アレクサンダー・ダーシー


スクリューボールコメディーというのに慣れていないせいか、討論番組を見るようであったよ。
任意の登場人物が長口舌を繰り広げる間、のこりの二乃至四名は、間をもたせないといけない。
で、何するか。
顔面芸だ。
この映画は、しゃべくりを聴いている、ほっとくと間抜けな絵になりかねない局面を、眉を動かしたり口をひんまげたりの顔面の筋肉の動きで、如何にしのぐかを役者が競う、それを、笑って見物する、映画。


似たのはこの国にもある。
倉庫で悪漢どもが悪だくみ。
と、頭上から高笑いが。
「誰だ!」
と拳銃を手に誰何する宍戸錠
一味が天井を見上げると、小林旭が、ギターを抱え、歌いながら階段を下りて来るではないか。
その間、飛び道具を構えながらもそれを本来の目的で使用せず、てんでに「くそー」「チクショー」などつぶやきながら、マイトガイが歌い終わるのをお行儀よく待つ悪党一味。


間をもたす、というのは大変な技だ、と当時10代半ばの主宰は心底感じ入ったのであった。


アイリーン・ダンという人は初めてみるが、輪郭がゲタ、失礼、額縁みたいだから、顔面芸にはうってつけだ。
若いケイリーグラントは、まだケイリーグラント印の顔はできていない。